年次有給休暇について その2
大分市の社労士 轟社会保険労務士事務所 代表 轟憲人です。
以前、年次有給休暇について触れましたが、今回は年次有給休暇の付与日数について考えていきたいと思います。
来月から9月。新たに入社する人も増える月ではないでしょうか。
年次有給休暇は出勤日数により、下記のとおり最低付与日数が決まっています。(厚生労働省のホームページより切り取り)

通常(というより、ほどんどの企業)では、半年経過後、上記表に当てはまる日数が付与されるかと思います。
初めは半年後、その後、1年経過ごとに付与日数はどんどん増えていきます。
「繰り越しは2年まで(最大40日間)」とする企業も多いですが、繰り越しできないものはケガや病気で入院した時の病欠用に回してくれる企業もあります(あまりお目にかかりませんが・・・)。
正社員の方、週5日以上勤務の方は(1)の付与日数となります。
パートの方は(2)に当てはまるのですが、この「所定労働日数」というのは雇い入れ時の契約内容に沿ってというかたちになります。
基本的には、実際に勤務した日数でなく、あくまで「契約内容」によりますのでご注意ください。
【祝日が重なり、その週は1日しか勤務しなかったから所定労働日数は1日】とはなりません。
ただし、その「契約内容」が変更した場合は、付与日数も変更してくるので双方の話し合いで確認することが必要かと思います。
そして、付与時期や付与日数ですが、法律で決まっていることは最低限、就労者のために決められているものになりますので、不利益にならなければ変更しても構いません。
例:・入社と同時に付与や、パートの方(表2に該当)でも半年経過したら10日
・更新は1年待たずに4月に毎年付与
など、労働者にとって良い方の変更は構いません。
ただ、入社と同時に付与する場合は少し気を付けないといけないかもしれません。
例えば、就業規則で
①年次有給休暇は入社後、半年後働いているものとして付与する
②年次有給休暇の更新は毎年4月とする
上記①、②を決めていたとします。
そうすると、3月に入社したAさん(週5日、1日5時間のパート)は入社と同時に5日付与されました。
4月になり、Bさん(週5日、1日5時間のパート)が入社しました。Bさんも入社と同時に5日付与されました。
ところが、②の規則があるので、Aさんは更に、5日付与され計10日になりました。
入社は1か月しか変わらないのに年次有給休暇は5日間違う・・・ということになります。
極端な話、3月20日に入社しても上記のようになるのです。
就業規則で決められているので、その通りの付与日数となり問題は全くありません。
ただ、もしかしたらズルい!と思う方もいるかもしれませんね( ;∀;)
年次有給休暇の付与日を決めると、管理がしやすいというメリットがありますが、例のようなことも起こるのでご注意ください。
どうすれば良いのか分からないなど、ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。